『赤きは酒のとが』
お酒のみもいろいろです。
笑い上戸に泣き上戸
「てやんでーべらぼうめ」
いつもは静かな人が急に威張りだしたり。機嫌よく歌ったりしています。
♪
正月はおとそで酒が飲める。飲めや歌へ楽しく酒が飲める
二月は雪見で酒が飲める飲めや歌え楽しく酒が飲める
三月は卒業式で酒が飲める
四月は花見で酒が♪
何につけてもお酒を飲む口実ができてしまいます。
「顔を真っ赤にして、気持ちよさそうですネ。」
「そうね!おいしいお酒、顔が赤くなるのはあたりまえですよ」
なかなかいい光景です。こんな飲み方をしたいものです。
ところが隣の酔っ払いさんは、真っ赤な顔をして威張っています。
「顔の赤くなったのは俺のせいじゃねー、みんな酒のせいなんだ」
「赤きは酒のとが」というこの諺、自分の間違いは認めないで、棚に上げ、責任を他人に転嫁することに使われます。
道で転んだのは石ころがあったから
学校が面白くないのは先生の教え方が悪いからだ。
うちの子供がとなりの子供をいじめたのは隣の子供が弱い性格だから
うちの子供がシンナーをすって補導されたのは隣の子供が告げ口をしたから
ところで中国は春秋戦国時代「荘子」にこんな話があります。
「来たるものは拒まず、去るものは逐わず」
隠者の肩吾が、賢者として評判の高い楚の国の孫淑敖という人物に、こんな質問をします。
「あなたは、三回も楚の国の宰相をつとめられたが、格別うれしそうな顔もされなかったし、その地位を去られても別に悲しそうな顔もされなかったとか。ほんとうかなと思っていましたが、いまこうしてお会いしてみると、なるほど、いかにものんびりして居られます。いったいどんな心構えで毎日をすごして居られるのですか」
孫淑敖は答えます。
「わたしはこれといって人様より優れている点があるわけではない。ただ、私が思うに、地位や名声というのは、向こうからやってくるのを拒むことはできないし、逃げて行くのを無理に引きとめることもできない。だから、やって来ようが逃げていこうが、自分にはかかわりのないことだと思って、いっこうに気にしないのである。」
「来るものは拒まず 去るものは逐わず」
顔が赤くなっても青くなっても静かにさらっとお酒を味わう。……………
味わってみたい心境ですね。
今日は「赤きは酒のとが」の話でした。
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