均等待遇・同一労働同一賃金
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富士市 社会保険労務士 川口徹

スマート社員と呼ぶ限定社員 りそな銀行 2016・5・23
基本給 同一労働同一賃金 職務等級が同じなら時間当たりの基本給も同じ
役割給制度を管理職に導入 シャープ
職能給と混合型  労働の質が異なる

同じ仕事で賃金差 違法 東京地裁判決 
定年後再雇用された嘱託社員のトラック運転手 年収は定年前より2〜3割下がった
正社員との賃金格差の是正を求めた訴訟
東京地裁 業務内容が同じのに賃金が異なるのは不合理 賃金の差額計約400万円支払いを命じた 2016・5・13 
企業が定年後に嘱託社員を雇用する場合仕事の内容の変更とともに賃金を引き下げることは一般的
佐々木裁判長は
「コストの増大を回避しつつ定年者の雇用を確保するため 賃金を定年前より下げること自体には合理性が認められるべきだ」とも判示した

格差 日本郵便の契約社員 東京地裁2017・9
手当や休暇
  職務内容の似た一般職と比較
〇   格差は不合理
△   格差はあってもよいが無支給は不合理
×   格差を許容

手当や休暇 格差は不合理か
夏季冬期休暇
病気休暇
年末年始勤務手当 △ 8割
住居手当 △ 6割
外務業務手当など ×
早出勤務等手当  
祝日給  
夏季年末手当  
夜間特別勤務手当  
郵便外務・内務業務精通手当  
   
   

定年延長の疑問http://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/roudou/60kgmn.htm
定年延長 勤務延長 再雇用制度
http://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/roudou/60koyo2.htm
60歳からの雇用と年金http://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/roudou/60koyou.htm
65歳からの雇用 65歳以上の就労
http://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/roudou/65koyo.htm
安全配慮義務と労務管理http://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/roudou/rousaitky.htm
60歳からの高年齢雇用安定法roudou/60koyou.htm
労働運動史roudou\rodudsi.html
雇用対策roudou\koyotsk.htm
労働団体法から労働個別法(労働保護法)roudou/roudou.html#71
休日 休業 休暇roudou/kyujitu.html
65歳からの厚生年金保険

雇用http://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/koyou.htm
非正規社員p-tnkn2.htm#1
登録型派遣労働者・短時間被保険者

雇用保険適用基準の緩和koyouhoken/koytekykj.htm
ワークシェアhttp://www.bekkoame.ne.jp/~tk-o/workshar.htm#81
非正(規)社員と正(規)社員
hiseisha.htm
雇用対策koyou\koytaisk.htm

「均等待遇・同一労働同一賃金」

賃金の本質は 労務の対価 仕事内容が職務給が前提の場合、範囲が明確な仕事  同一労働同一賃金はなじむ 職務給の研究 55年より
電算型賃金 生活保障給の色彩が強い
しかし社員の配置転換を円滑に進められない (日本の雇用と労働法 濱口桂一郎)

1960年代後半になると技術革新に伴い企業は社員を柔軟に配置換えする必要がある 
職務給の下では配置が変わるたびに賃金が変動する 賃金が不安定になる 労働組合が問題視する
職務給を断念して職能給にシフトしていき年功賃金制が定着していく、

それに合わせて仕事の範囲が曖昧不明確になり・長時間労働や残業が当たり前になる
専門性の高い社員が育ちにくくなり、生産性が低くなる 
社員の専門性を高め、女性や高度外国人が働きやすくするには、職務給による働き方が受け入れられやすい 日経社説より 2016・4・24


職能給 不合理な扱いのガイドライン(指針)を示す 議論の方向性

透明性と 説明責任

賃金の違い 様々な理由 企業間で賃金は合わせるのは困難 不合理なもの

有期雇用 派遣労働 パートタイム 均等待遇   
非正規と正規は待遇面で格差 
理想的な取引環境 完全競争市場 一物一価の法則 財 サービス 質や量 地域等の違いがあれば異なる価格

同一労働のようでも同一労働ではない 配置転換 仕事の内容の変更 勤務地域の変更 残業 トラブル対応 急な呼び出し

長期雇用  年功賃金 賃金の後払い 各時点では貢献度と賃金にずれが生じる

パートタイム労働者
労働市場での需給により賃金が決まることが多い
経緯が異なる場合 繁忙期と平常期

差別的に取り扱えば市場で淘汰  メカニズムが正常に機能している場合と 機能していない場合 同一企業 

難しい派遣労働
派遣先企業で直接雇用される労働者 均衡を考慮する配慮義務
派遣先企業 派遣元企業

安定した雇用形態 待遇改善 能力の改善

同一労働同一賃金
同じ仕事なら同じ賃金 国際労働機関ILO 1951年採択下条約  男女間の賃金格差禁止
日本は1967年に同条約を批准した 労働基準法で差別的取扱いを禁止
同じ仕事内容に対して同じ賃金を払う  欧米では一般的である オランダ 

日本では 正社員の仕事の範囲があいまいで無限定の働き方なので、この雇用システムを再考検討する必要がある

日本の企業は 男性正社員を仕事の中身も働く場所も定めず会社の指示のまま働かす代わりに、新卒一括採用で
定年までの終身雇用と毎年定期昇給の年功賃金制の保障を前提としていた 
 
正社員は 経営幹部候補のコア社員だけでなく、新卒一括採用のほとんど全員を正社員として雇用した。
それが戦後の日本経済の高度成長に貢献し 高度成長期における日本企業の競争力の源泉になった。
この継続なので同一労働同一賃金は日本では意味が異なることになります。
仕事内容やポストに応じて報酬を定める部課長などや管理職候補等の無限定正社員を除く、職務内容や労働時間、勤務地などが限定された限定正社員がその対象になるのでしょう

職務内容や労働時間、勤務地などが限定されれば、同じ仕事内容に対して同じ賃金を払うことは当然で疑問の余地がないでしょう
多様な働き方という考え方で同一労働と判断することは困難であろう  

会社都合の配置転換 転勤 職務を限定しない 高い給与と終身雇用を保障

待遇格差
正社員にも仕事に応じた処遇を広げる 賃金は職務の対価 正社員の生産性を高める 
賃金格差が許容される範囲と条件 付加価値 生産性重視の考え方

仕事の中身や難易度で賃金を決める職務給を取り入れる 
職務を限定したジョッブ型正社員の導入
職業能力を評価する仕組みを整える 職務給制度の設計 
職業訓練の充実 柔軟に担当業務が変わる 専門性 職務に応じた処遇  2016・3・25

均等処遇
非正規社員と正規社員が同じ仕事とはいえない 責任の重さの違い しかし賃金の格差が異常に大きい
2007年厚生省 平均賃金/月 正規社員318200円 非正規社員192900円 育児休暇 福利厚生 待遇の二重構造

時給引上げ 正社員登用
リーダースタッフ 職務区分
優秀な人材の厚遇
ライフステージに対応するツールとしての位置付け
一時的にパート転換

非正規社員と正規社員
非正規社員の増加 雇用の柔軟性 企業側からの柔軟性の確保 非正規雇用の雇用比率は雇用主全体の3分の1以上

短時間勤務の正社員
「均等待遇・同一労働同一賃金」 働き方の多様化 ワークシェアリング

連合と個別労組の相違 使い勝手の良い非正規の増加は正規雇用の減少に繋がる 労働側の対抗力の弱体 

 

丸子警報器事件  (長野パート 正社員賃金差別訴訟)

丸子警報器事件 H8/3/15長野地裁上田支部
事件の概要
丸子警報器,自動車用警報器の製造販売業
臨時社員の雇用契約は2カ月契約,契約更新 
正社員の賃金体系,年功序列型賃金体系 
臨時社員は,3年・5年・10年を区切りとする3段階の賃金体系

199911.29  格差是正で全面和解 丸子警報機事件
9割前後 実質的な正社員化 日給制を月給制に 賃上げ率を女子正社員と同率に 将来にわたる賃金是正を進める

臨時社員制度の合理性 正社員、臨時社員の区別は社会的身分でない。

 

判決の要旨  
同一労働同一賃金についてこれを明言する実定法の規定は存在しない。 

我が国の多くの企業は,年功序列による賃金体系を基本 職歴による賃金の加算,扶養家族手当の支給などさまざまな制度を有している
同一労働同一賃金の原則は不合理な賃金格差を是正するための一個の指導理念

賃金格差が直ちに違法とみなすことはできない。
均等待遇の理念は 一つの重要な判断要素として考慮 均等待遇の理念は,賃金格差の違法性判断において,一つの重要な判断要素

雇用形態の差 
差別的取り扱いの禁止 労働基準法3条 
「正社員」「臨時社員」の区別は、雇用契約の内容の差異から生じるものであり、労基法3条にいう「社会的身分」には該当しないとされた例 雇用形態による格差まで否定するものでない 

原告らの組立ラインの作業は,かなりの熟練を要し 基幹的部分ともいえる重要性がある 
正社員の業務と比べても,従事する職種,作業の内容,勤務時間および日数 QCサークル活動への関与などすべてが同様
臨時社員の,長年働き続けるつもりという点でも正社員と変わりかない

労働内容は,その外形面においても,会社への帰属意識という内面においても,臨時社員と正社員は同じであるが
前提となる諸要素の判断に幅がある以上は,その幅の範囲内における待遇の差に使用者側の裁量も認めざるを得ない 

同一(価値)労働同一賃金の原則は
労働関係を規律する一般的な法規範としての公序とはいえないが、
会社が、臨時社員として採用したまま固定化し、2ヵ月ごとの雇用期間の更新を形式的に繰り返し、正社員との顕著な賃金格差の維持拡大は、同一(価値)労働同一賃金の原則の根底にある均等待遇の理念に違反し、公序良俗違反となる 

同じ勤務年数の正社員の賃金格差 8割以下は 裁量の許容範囲を超えている 公序良俗違反として違法である 
原告らの賃金と、女性正社員の賃金との8割までの差額の支払いが命じられた

正社員に準じた年功序列制の賃金体系を設ける必要。 
丸子警報器事件(平成8年3月15日長野地裁上田支部判決)参照

大阪歯科大学臨時職員 平成12年12月勝利和解 正職員化を実現

 

臨時工と正社員の格差等 東京高判昭和48.12.13 

同一労働同一賃金の原則の規定は基準法にはありません 民法の公序良俗違反と考えますか

雇用契約書 就業規則はどのようになっていますか

  最高裁召集の協議会見解 1998.10 
  雇用形態が異なる場合 同じ仕事のパート・正社員 賃金の格差を容認

実定法上の規定はないので 公序良俗に反しない限り有効とすべき

採用時の基準や提供すべき労務に対する要求水準が異なるので賃金格差をもうけても控除違反とならない

ILO百号条約 女性差別撤廃条約 国際社会権規約を批准

雇い止めの問題
/yatidm.htm
パートタイム労働者の契約期間、勤続年数が長期化するなかで、契約更新が相当回数に及んでいても景気後退時には突然、雇い止めないし解雇の対象とされている

(1)突然なされる雇い止めの効力については、更新回数、仕事の性格更新手続き、当事者の意思、継続雇用の期待が生じる状況か、などを考慮し、実質的に期間の定めのない契約と認められる場合には、解雇に関する法理を類推適用すべきものとしている。

(2)整理解雇の効力について、
パートタイム労働者を正規従業員より先に雇用調整の対象とすることもやむを得ないとしたものがある
、さらに整理解雇基準の適用について解明されるべき点がある。

参考 労働省「パートタイム労働に関する調査研究会」の報告等

派遣期間の打切り

一定の期間、たとえば6ヵ月という契約で派遣されると、登録型の場合でも6ヶ月間の雇用契約(=労働契約)が派遣元と労働者との間に成立します。
仮に、この期間内に派遣先の都合などで派遣が打ち切られても、派遣元との間で成立した雇用契約は、労働者に責任がある場合など正当な理由がなければ解除できません。

派遣労働者はその雇用契約の期間内に、つぎの派遣先で働くまでの間の賃金を派遣元に請求することができます。

 

−派遣労働者への補償−
派遣契約が途中で解除されても、派遣元との労働契約は解除されるわけではありません。

  1. 派遣労働者に新たな仕事を探す
  2. もし仕事が見つからない場合は休業手当(労働基準法第26条)の補償が必要になる。


★休業手当は最低基準なので、民法では反対給付として、賃金の全額を要求することはもちろん可能です(民法第536条2項)。

★派遣元によっては「至急、かわりの現場を探してます」と言って、 賃金を支払わないまま引き延ばしたり、やむを得ない解雇として解 雇予告手当30日分の支払いで済ませようとすることも多いので注意が必要です。

★登録型の場合、その雇用契約期間がおわったら、つぎの派遣先を必ず要求できるわけではないので、 雇用の保障がないという大きな問題があります。

対象外の業務従事等の禁止と制裁措置

労働者派遣を認められる業務は専門的な仕事なのに、派遣先で雑用などをさせられたという苦情が少なくありません。

禁 止 規 定 

これに違反した場合は

制 裁 措 置
(労働者派遣法49条の2)

労働大臣は、つぎの命令および勧告をする。